道央方面へ鳥と酒の旅(2013年5月)
ゴールデンウイークを半分しか休めなかったので、道央方面への出張ついでに代休を取ることにしました。(長文です)
■5月23日(木)
新千歳空港に着いたのが22時過ぎ。ホテルのある札幌駅まではJRで行けるんだけど、電車も飽きたのでバスを選んだのが大間違いの始まりです。
空港から札幌駅までのルートには札幌ドームが在るんだけど、この夜は大谷翔平のデビュー戦だったことと、試合が延長12回まで伸びたことで、道路はラッシュ状態。
ホテルに着いたらバーへでも行こうと思ってたのに、日付が変わってからの到着だったのでおとなしく寝ることにしました。
■5月24日(金)
泊まったホテルが北海道大学の近くだったので、早起きしてキャンパスの散歩です。
キャンパスは出入りが自由で、早朝にもかかわらず散歩やジョギングする人がたくさん居ました。
"少年よ大志を抱け!""BOYS, BE AMBITIOUS!"のクラーク博士像は超有名ですね。
ポプラ並木も名所なんだけど、意外に距離が短くて樹が少なく、ガッカリしました。
キャンパスの随所に野鳥が居て、アカゲラも、こんなきれいなキビタキも居ました。
大学のキャンパスなのに、それも札幌駅から徒歩5分の都心部なのに、キビタキが居るなんてすごいです。
カワラヒワも、かなりたくさん居ます。
小鳥にとって食べ物が豊富な季節は、まさにこの世の春ですね。
このキャンパスには農学部も在るんで、羊も牛も餌を食んでます。
札幌市街のあちこちには桜が残ってて、本州との気温差を感じます。
実際、想定外の寒さに負けてウインドーブレーカーを買いました。
この日の札幌はすばらしい晴天で、青空をバックにした北海道庁旧本庁舎のレンガ色が引き立ちます。
数年前にSNSで知り合った札幌在住の美人絵描きNさんの運転で、Nさんのお気に入りの旭山記念公園に登って市街地を展望しました。
東京や大阪に比べて空気が澄んでるので、遠くの景色もくっきり見えます。
ランチは、旭山のふもとの和食の店「真心庵(しんしんあん)」で。
料理も良いけど、部屋から眺める日本庭園も綺麗です。
ランチにしては少しばかり贅沢すぎたかな?
楽しいランチタイムの後は仕事先の滝川市へ移動です。
線路に併行してる国道12号線は約30キロの直線の長さが日本一だそうで、北海道は道路も線路もほんとうに長くまっすぐ伸びてますね。
夜八時まで仕事を頑張った後は、滝川市に来ると必ず立ち寄る居酒屋「おだちもっこ」へ直行です。
このお店では店主自慢の創作料理と地物のお酒が楽しめます。
店主は料理の素材にもこだわっていて、ほとんど地物を使っているとのこと。
もちろんカラオケなどは置いてないし、店主は寡黙過ぎず饒舌すぎず適度に話し相手に成ってくれるんで、一人で飲みに行っても寂しい思いをしたことが無いですね。
これは、ダイコンの炊いたんにチーズのトッピング。左側のササダケは柔らかくて風味豊かです。
まずは、青森県黒岩市の地酒「亀吉」から。もちろん佳きお酒です。
今が旬の山菜「あずきな」
半分以上食べてから写真を撮ってないことに気づいたが、時すでに遅し :-(
あずきなは、主に北海道で食される山菜で、見た目はギョウジャニンニクぽいけど、ニンニク臭はまったくしないです。
これは、石狩川を挟んで対岸の新十津川町の金滴酒造のお酒。
小さな酒蔵なので、生産数が少ないうえ、平成24年の新種鑑評会で金賞を取った後は人気が出すぎて入手困難らしいです。使っている酒米は隣の岩見沢で開発された「吟風」(ぎんぷう)ですね。
■5月25日(土)
今日は終日お仕事でした。
明日の早朝に天売島へバーディングで向かうためにレンタカーを借りたので、昨夜呑んで感激した金滴酒造までドライブしてみました。
金滴酒造は、こじんまりした蔵でした。もう営業時間外で閉まって
おだちもっこの店主の話では、金滴酒造は一度はつぶれかかったものの、杜氏を変えての再出発だったとか。平成15年の新酒鑑評会で他の蔵元も金賞を取った酒造米「吟風」を使っての再チャレンジが、みごと的を得たわけですね。
蔵のすぐ傍を石狩川が流れてます。
ここは、明治の時代に大水害で壊滅状態に成った奈良県十津川村の住民が新天地を求めて移住した土地です。
十津川村の渓谷の険しい流れに比べると、なんと穏やかでゆったりと流れる川ですね。
■5月26日(日)
今日の目的地は北海道の西に浮かぶ天売島(てうりじま)という孤島。ここは、能登半島の舳倉島や秋田県の飛島のように、春と秋の渡りのシーズンにはたくさんの小鳥が立ち寄ります。
宿泊地の滝川市から連絡船の出る羽幌の町までは100キロメートル強しか無いのに、カーナビの予想時間は3時間半を指してます。
長すぎる予想時間に違和感を持ちながらも、8時30分の出発までに到着するために余裕をみて日の出前に出発したところ、案の定現地には6時過ぎに着いてしまいました。
※深川~留萌は無料提供されている高速道路でした。
カーナビは、この区間を一般道と判断しているために時間差が生じたのかも知れません。
しかし、早起きは三文の徳。
港では漁を終えた漁船からの水揚げを見ることができました。
獲れたのは主にカレイ。他にも大きなエイが何匹か居ました。
8時30分。いよいよ天売島へ向けて出港です。
連絡船の客は意外と少なくて10人程度でした。
ウニの解禁は6月だし、まだ冬が明けたばかりだし、都会ほどバーダーや野鳥カメラマンが多くないのが理由かも知れません。
羽幌フェリーターミナルから天売島までは、途中の焼尻島に立ち寄って1時間30程度。
船のデッキからはウトウなどが見えることもあるけど、どれも遠すぎて持参のズームでは歯が立ちません。
島の西側はウトウやウミガラスの営巣地として有名だし、東側の漁村周辺は渡りのシーズンには多くの小鳥が立ち寄ります。
今回は5時間ほどしか滞在できない日帰りの予定なので、西側の海鳥は諦めて東側の探索に専念します。
この島に詳しい地元バーダーさんのお奨めで最初に立ち寄ったのが厳島神社。
近くの草原でカッコーが鳴いてたものの、境内で見れたのはアカハラだけ。
少し歩いて天売高校の脇の坂道を登ってゆくと、きれいなキビタキに出会いました。今回の旅では北大キャンパスでも何羽かのキビタキに出会えたのでラッキーです。
中腹部の林ではノゴマが喉を膨らませて縄張り宣言の最中です。小鳥にとっては何かと忙しい季節ですね。
コムクドリ(♀)が新芽をついばんでます。
この場所からは隣の焼尻島(やぎしりじま)の全景が見渡せます。両島とも野鳥は濃いらしくて、トレッキングコースで出会った女性グループは焼尻島でたくさんのオオルリが居たと言ってました。
本命の一つのオオルリに出会えないまま林道をうろついて数時間が経過。
戻りの連絡船は3時台に出発なので、少し焦ってきました。
そんな気持ちで漁村まで降りてきたら、なんと目の前にオオルリ出現。
ほぼ後ろ姿で枝かぶりだけど、今年初めての出会いなんで嬉しいです。
難関を突破した後は面白いように鳥と出会います。
コムクドリはオスの方が頬紅さしてるのでこっけいに見えます。
ウソとは早春に地元のお山でお別れしてから久しぶりの再会です。
これは、アカウソかな?
この島のキビタキはイケメン揃いで、いくら見ても見飽きません。
眉毛がかすかに黄色っぽいんでカシラダカ(♀)のようだけど。
まさかのシロハラホオジロとかキマユホオジロだったら大喜びなんだけどな。
帰りの連絡船に乗り遅れると大変なので、少し早めにフェリーターミナルに戻ってきました。
島に渡ったからには、こぼれるほど盛ったウニ丼が食べたかったんだけど、あいにくウニ漁の解禁は数日後の6月からなので海鮮丼で我慢です。
どんぶりの具は海鮮7種類。うしお汁もキンキなど2種類の具がてんこ盛りで、セット料金1500円は良心的ですね。
連絡船が羽幌港に帰着するのが5時25分で、滝川市のレンタカーの返却期限が7時。
急げば間に合うかも知れないけど、フェリーで知り合った人が「北海道警の収益源はスピード違反といったん停止違反くらいなんだよね」の一言が胸に刺さって、のんびり走ることに決めました。
帰路の海辺で見かけたニシン御殿です。
木はだのままの木造とは言え、周囲の漁師小屋とは比べ物に成らないほど立派な建て方から、当時の船主の豪勢な暮らしぶりがうかがえます。
■5月27日(月)~28日(火)
この間は滝川市の納入先での仕事がメイン。
初日は想定外のトラブルが発生して焦ったものの、なんとか対策が成功したようです。
28日は商談で岩見沢市まで往復です。
この町では、ばんえい競馬が開かれていたものの、2006年に廃止に成りました。
3・4番のホームには、そりを挽くばん馬の像が置かれています。
■5月29日(水)
この日は、某湿原で某組織の某作業のお手伝いです。
草原を進んでたら足もとからヤマシギが飛び立ったので、近くを見たら巣に卵が4個在りました。
場所が特定できるような写真や書き込みはしない約束だけど、この程度の写真は許してくださいね。左端をチュウヒが飛んでるのが見えますか。
ヤマシギの親が大声で威嚇するので、帰路は大きく迂回せざるを得ませんでした。
ひと仕事終えて、土手で昼食です。
今回の作業に同行することの交渉をしてくれた地元バーダーのKさんから差し入れのお弁当。ゆかりのオムスビが美味しかった。
後半は深い湿地での作業だったので、生まれて初めて胴長を履かせてもらいました。
夜には、かつては炭鉱で栄えた美唄の町で、SNSで知り合ったNさんも交えての呑み会。
この町の名物料理は焼き鳥です。
一つの串に精肉、皮、球ひも、レバーと玉ねぎが仲良く刺さってて、塩味で食べるのが特徴だとか。
炭坑で働く人にとっては、安くてボリュームたっぷりの料理は大歓迎だったんでしょうから、それまでは捨ててきた内臓や地元産の玉ねぎが素材に成ったんでしょうね。
やはり愛鳥家のオフ会は焼き鳥が定番です。
東京にも出店を持つ「福よし」は地酒の品数も豊富でした。グラスから溢れるほどなみなみと注いでくれて………おやおや、こぼしてしまいましたね。
■5月30日(木)
早朝から強い雨。
この日は予定も無かったんで外出をちゅうちょしたけど、SNS鳥友のNさんのお勧めで浦臼(うらうす)の町までレンタカーを走らせてみました。
神社の入り口で車を停めて階段を登ろうとしたら、なんと境内を電車が横切ってます。
こんな光景は珍しいですね。テレビ番組の珍百景に投稿したら、採りあげてもらえそうです。
ここを電車が通り過ぎる写真も撮ってみたかったけど、本数が少なすぎるんで諦めました。
神社の敷地は公園に隣接してて、かなりの広さがあります。
アオジやムシクイ、アカハラが多いですね。
ここはお花でも有名らしいけど、植物には無知の私には奇麗としか表現できません。
この場所に心惹かれたのは、赤色型のツツドリが来ているという情報を聞いたからだけど、運よく雨上がりの枝に赤い鳥が止まってました。
ホトトギスにも似てるけど、トケン類の同定は難しいです。
私にはお腹の縞模様とか鳴き声が無いと同定は無理です。
ここで一句、「鳴かぬなら区別がつかんトケン類」 ひでき。
ツツドリに続いてクロツグミを発見。
この個体は、かなり長い時間さえずってくれて、目も耳も楽しませてもらいました。
こんな素晴らしいチャンスを、ほぼ貸し切りにできるのも北海道ならではの贅沢です。
北海道ではスズメほどありふれた(?)ゴジュウカラも、すぐ近くの樹まで来てくれます。
同様に北の大地では普通の鳥、アカゲラ。
エゾリスが運んでるのはクルミのようです。
これはヒタキ類なんだけど、お腹が白いんでコサメヒタキかな?
雨天決行して良かった。
わたしの地元では、これだけたくさんの野鳥をのんびり見れませんね。
浦臼神社から札幌市内に移動して、再び北大近くのホテルにチェックインした後は、ススキノへ繰り出しました。
もとよりコミ障ぎみのうえ、美人を目の前にするとどもってしまう私にススキノは縁のない街だったけど、今晩は札幌在住で遠縁のM君という強力な助っ人が一緒なので百人力です。
ススキノの顔ともいえるニッカの広告。大阪で例えると道頓堀のグリコ看板でしょうか。
ススキノと言えばラーメン横丁が思い浮かぶけど、ごらんのとおり閑散としてます。
M君の話では、ここへ来るのは観光客だけで、地元民はほとんど無視してるらしいです。
最初のお店は、世界のビールが飲める「HIGURASHI」というお店。
ここではImperial Red Ageという、アメリカのユタ州の赤っぽいビールが印象的だったな。
二件目はSNSで知り合った山ガールの親戚がやってる「金ちゃん」という焼肉屋さん。
このお店は草鞋ほど巨大なお肉が自慢で、テレビ取材も多いとか。とにかくエンターテイメント性が高くて楽しいお店です。
そして、三軒目はM君の青春の思い出がたくさん詰まった「寄り合い」というBAR。
私と同年代のマスターが集めた60年代のレコードを聞かせてもらいながら、青春時代の思い出話しにふけった札幌の夜でした。
夜も更けて、ススキノも本来の歓楽街らしく成ってきました。
ちょっとバテ気味なので、4軒目に行こうよとのM君のお誘いも断ってホテルへ戻ります。
明日は早朝に起きて北大キャンパスの鳥を見に行くつもりだけど、はたして起きれるかどうか……
■5月31日(金)
ほぼ9日間にわたった道央方面遠征も、あっという間に最終日です。
少し早起きして、再び北大キャンパスを訪ねてみました。
林の小路を進むと、キタキツネが通せんぼしてます。
すると、キャンと可愛い鳴き声で草むらから子ぎつねが出てきました。
あどけない表情が、めっちゃめんこいです。
そうやったんか……
ごめんねお母さん。遠回りすることにして踵を反しました。
ホテルをチェックアウトしてからは、大きな飛び物を撮りに新千歳空港へ。
近所に航空基地が無い南大阪住民にとって戦闘機の雄姿はワクワクします。
こんな急上昇してもパイロットって平気なんかな。
今回は9日間の長征で、ちょっと遊び疲れがでました。
仕事に追われてたゴールデンウイークには自虐的な気持ちが強かったけど、これだけ遊んだので逆に仕事への意欲が増しました。
たまにはゲップが出るほど遊ぶのも良いもんですね。
他のブログ 道東の夏鳥(2009年夏)、 ニシン漁で栄えた町を訪ねて、 十勝岳遠征でナキウサギを堪能 も見て頂けたらうれしいです。
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