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2013年10月10日 (木)

宮古島探鳥記(2013年10月)

秋の沖縄は台風銀座とは承知してたものの、まさか二つの台風にはさまれて難儀するとは思ってませんでした。

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■10月3日

毎年、二十四節季の寒露あたりに南方の国を目指すサシバの群れが宮古島を通過します。
何千羽ものサシバが列を成して川の流れのように上空を横切る光景が見たくて、今年で二度目のチャレンジです。

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那覇空港で小さな飛行機に乗り換えて宮古島へ向かうに連れ、眼下に広がる光景はなんとなくトロピカルムードに変わってきます。

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今回の旅は10月9日までの6泊7日の長征なんだけど、島のレンタカーを廉価な早割りで予約できたので、借りっぱなしであちこち移動することにしてます。

まず向かうのは池間湿原だけど、その前にレンタカー屋のお兄さんから仕入れた情報で、池間大橋の手前にあるすむばり食堂名物の「すむばりそば」で腹ごしらえです。

ここの沖縄そばは柔らかいタコと海草のトッピング。ソーキそばとは一味違って楽しかった。

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池間大橋から望む大神島。ここには御嶽(うたき)という精霊信仰の聖地が在るので、以前から興味あったんです。
明日は島に渡りたいん
だけど、海が時化てるので連絡船が出るかが心配だな。

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台風23号が近づいているので波も高いし、時おり小雨もぱらつくのが心配だけれど、だんだん天候が悪く成るなら遊ぶなら今しかないです。

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この季節の池間湿原は草丈も高いので、お目当てのムラサキサギはなかなか見つかりません。一時間に一度ほど数メートルだけ舞い上がってはくれるものの、レンズを向けた頃には再び草むらの中に隠れてしまうんで、まるでもぐら叩きのゲームみたい。

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夕方5時まで粘ってやっと撮れたのが、この写真。かなり大声でギャーギャーと啼いて騒々しい奴です。

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その後はラッキーにも水場へ移動してくれて、ゆっくりと撮ることができました。
ムラサキサギにとって池間湿原が繁殖北限で、ここには数つがいが居るようです。

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沖縄県最大の湿地である池間をたった一人で独占して遊ぶのは贅沢のきわみです。
ここは、チョウ類の宝庫でもあるので、鳥が見れなくても不自由ないです。
これはスジグロカバマダラかな?

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湿原からお宿までへの帰路では、トラクターが耕した後の畑に現われるミミズなどをアマサギとツバメチドリが追い掛け回してました。

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ツバメチドリは関西ではレアだけど、この島ではツバメほどにありふれた鳥ですね。

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今回も、お宿は来間島のペンションたきなか
ここでお世話になるのは4度目なんだけど、お父さんとお母さんの人柄がかもし出すアットホームな雰囲気が好きなんです。
リゾート地のペンションはアバンチュール目当てのギラギラした若者が多くて疲れるけれど、ここは別天地。元公務員のお父さんと、元看護士のお母さんは芯から暖かいです。

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たきなかの食事は、近海で獲れた魚介類と自宅の畑で採れた無農薬野菜がメインです。
お母さんは元看護士だけあって、メニューには健康面への心遣いが現われてますね。
旅先のローカルフードや地酒を堪能できるのが旅行の楽しみの一つです。

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たくさんの晩御飯を食べるのに難儀してるところへ、お父さんの友だちからグルクンと島豆腐の厚揚げの差し入れが。
揚げたてのグルクンは美味しいんで、オリオンビールを呑むピッチも上がります。
写真には写ってないけど、当然ながら泡盛も堪能してますよ。

■10月4日

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たきなかで迎えた最初の朝食。野菜がメインなので、とても健康的なんです。
テレビの天気予報では、台風23号が徐々に宮古島に近づいてきてるようなので、大神海運に電話してみたら、天候しだいで欠航するかもと言われてしまった。

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たとえ島に渡れても、台風が接近すれば宮古本島に戻れなくなるんで悩みます。
そんな気分で川満のマングローブ林などで遊んでても、やはり大神島が気に成るな。

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ダメ元で向かった島尻の波止場で大神海運の人に聞いた情報では、11時40分島尻発の便と13時45分大神発の便なら、どうにか運行できそうとのことなので、島に渡ることに決めました。

島尻の村では毎年の秋にパーントゥという祭りが催されるけど、開催日は年によって違うらしい。それと、最近は奇祭を撮りたいカメラマンが集中するので、開催日は直前まで明かさなく成ったとのこと。

連絡船の切符を売っていたお姉さん(大阪から宮古に移住した人)が、今年のパントゥは6日だけど、台風の影響が心配だねって教えてくれた。

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台風の風に押されたのか大波を恐れたのか、何匹ものトビウオが船着場のスロープに打ち上げられてました。キョウジョシギたちにはタナボタの幸運だろうけど、身に余る大物をもて余してるようでした。

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時化の海を大神島に向かいます。島の周囲のリーフを超えるのは波が高いときには危険らしいけど、ベテラン船長さんは何とか乗り越えてくれました。

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大神島は人口わずか26人(2011年9月現在)で、周囲3Kmにも満たない小さな島ですが、アニミズムの精霊を祭った御嶽(うたき)と呼ばれるスポットが7つもあります。

島の人に御嶽を話題にするのはタブーだと書かれた書物も在るので、どこに在るのか知りたいものの誰ともしゃべれない辛さがあります。

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ようやく島全体が見渡せる遠見台(トゥンパラ)という高台に近づいた時に、なんとなく霊的な場所が。これが御嶽の一つなのかも知れないけど誰にも聞けなかったので正体は不明です。

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私には科学が進歩した現在の暮らしが、どことなく浅薄で危うく思えます。
技術の粋を結集して作った原子力発電所でさえ、地球の表面近くのプレートがちょっとずれただけで恐れていたメルトダウンになり、2年も過ぎた今でさえ手の打ちようが無い始末です。

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わたしがアイヌの暮らしやニライカナイの伝承のある南西諸島に興味を持つのは、数千年も続いた縄文の時代の自然を敬い自然と共生するというアニミズムの精神に惹かれるからかも知れません。

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島での滞在時間は一時間強だけなので、撮れたのはシマアカモズと思われる証拠写真が一枚と、

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コサメビタキと思われる一枚くらいかな。

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でも、ここはチョウも豊富で、南西諸島だけに生息するリュウキュウアサギマダラや

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真っ赤なおなかが印象的なジャコウアゲハなどにも会えました。

島の西側の浜には海がめも来るらしいです。

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草やぶでガサゴソと音のするほうを見ると、大きなオカガニとも目が合います。
御嶽探検の成果はいささか不満足ながら、コマーシャリズムに荒らされていない自然の中での一時間は楽しかったな。

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船着場の食堂に立ち寄ったら、地元のオッチャンたちが祝宴の最中でした。
「どこから来たの?」と聞かれて、「大阪の貝塚市」と答えると、「ワシ、三十年ほど前に貝塚市の小さな紡績工場で働いてたんよ」とのこと。詳しく話しを聞くと、なんとオッチャン(エンジのポロの人)が暮らしていた社員寮を整地して宅地分譲した場所に建っているのが我が家だったと言う奇遇にお互い大喜び。

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「こんな小さな島で30年前の思い出の地を知ってる人に出会うなんて奇遇や」と大喜びのオッチャンから「泡盛を飲んでゆけ」と何度も誘われたものの、対岸の船着場にはレンタカーが待っているので丁重にお断りせざるを得なかったのが辛かったな。

島の人は、よそ者意識の垣根を乗り越えた後は、とても熱いです。「なめるだけでも、形だけでも乾杯しよう」と誘われてのツーショット。

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連絡船の着く島尻は、マングローブ公園でも有名です。
ここには、おとぼけ顔が可愛いトビハゼや

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真っ赤な甲羅と爪が印象的なシオマネキがたくさんいます。

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今回の旅では、宮古の野鳥と探鳥地が詳しく書かれた図鑑(宮古の野鳥)を持参してるので、とても心強いです。
著者の砂川さんとは本のご縁でメール交換させていただく仲ですが、その砂川さんから「咲田川の水路に行ってみたら」との電話を頂きました。

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宮古島唯一の河川である咲田川につながる与那覇湾にはシギチやクロサギが居たけれど、風が強いためか小さな鳥は少ないですね。

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コアジサシが強風にあおられながらも魚を探してます。この後、みごと小魚をゲットできました。

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砂川さんの情報を頼りに沖縄製糖の裏手の水路に行くと、たくさんのシギチが強風から避難してきてました。
セイタカシギの角度から、風の強さが伝わりますか?

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カラスバトも樹の陰で風を避けてます。
カラスと名がつくものの、鈍い虹色の大きな身体は荘厳ですよ。

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島のアチコチで見かける交通マネキン。
彼の愛称は宮古島まもる君で、島の交通安全のマスコットキャラクターとして愛されているようです。

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夕日や星空がきれいな来間島のムスヌン浜も、お気に入りの場所のひとつなんだけど、あいにくの強風で早々に退散しました。

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たきなかのお母さんが、今晩は赤飯にしようかと言ってたので楽しみにしてた晩御飯。
黒あずきは島の伝統野菜の一つで、島ではお祝いの日や十五夜に赤飯を炊きます。
この日は十五夜でも祝日でもないので、もしかして私だけのために炊いてくれたの?

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たきなかでの楽しみは島の料理。写真はソーキと白ウリの汁物。
他にもゴーヤと島トウフの炒め物やモズクなどが楽しいです。
この週の宿泊は私だけなので、たった一人のために愛情こめて作ってくれたお母さんに感謝。

■10月5日

島での三日目の朝なんだけど、台風はどんどん接近してきてます。

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暴風警報が発令されれば来間大橋が閉鎖されて宮古本島に戻れなく成るので、平良港フェリーターミナル近くにお父さんが持ってる別宅へ移動することにします。
この雨風では鳥を撮るのも無理だけど、勝手を知らない家に居るのもたいくつなので、アチコチを車でドライブすることにします。

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島のサトウキビ畑を風がザワザワと渡る景色が好きなんだけど、この天候では車から出ることもできないんで、東平安名崎の灯台を目指して走り続けたものの……

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外は車が揺れるほどの暴風なので、伊良部島名産の渦まきパンとウッチン茶だけのランチして、市内に戻ることにします。

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岬の付け根の保良漁港。
鳥の繁殖シーズンには、たくさんのアジサシやイソヒヨドリに会えます。

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対岸に来間島が見える東急リゾートあたりまで戻ってきたものの、砂浜には誰も居ないし風も強くなってきたので、お父さんが貸してくれた別宅に戻ることにします。

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別宅にはテレビが無いんで、スマホと泡盛が独りぼっちのお友だちです。
この後の夜9時ごろに停電して、翌朝まで暗闇の中で寂しい夜を過ごしました。

■10月6日

台風23号は通り過ぎたものの次の24号が接近してきてるので、サシバの渡りは諦めて島から脱出することに決めました。

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平良港のフェリーは欠航のままで、停電のために信号機も働いていません。

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夕方のフライトまでは、大野山林で遊ぶことにします。
山林の竜の池は、アカショウビンやサンコウチョウの繁殖シーズンにはカメラマンで混み合うほどだけど、さすがにオフシーズンは誰も居ないです。

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林道を散策してたら目の前の木にヒラリと止まったのがオオコオモリ。
コウモリには怖いイメージが付き物だけど、こうして見ると可愛いもんです。

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山林とお別れする直前に、見たかった蝶の一つのアオタテハモドキに出会えました。
とてもカラフルな羽根と目玉模様が印象的です。

島尻の連絡船のお姉さんから、「パーントゥは今日になったよ」と連絡もらったものの、島から脱出するチャンスは二つの台風の狭間の今日しかないので、涙を呑んで空港に向かいます。

パーントゥは、秋田のなまはげのような衣装に、とても臭いヘドロうなもの塗りつけた妖怪(?)が見物客を追い回すという奇祭なので、チャンスを作ってぜひとも見たいな。

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今回のお土産は、石垣島ラー油と豆腐ようと、多良間島の黒砂糖。
沖縄離島の黒砂糖は混ぜ物が無いんで、とても美味しいです。

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やっとダブル台風から逃げ出して、那覇空港で一息ついてるところ。
今回はパーントゥも満天の星空もサシバの渡りも見れたかったけど、いつ行ってもカタルシスができる島旅です。

2013/10/13 伊良部島のペンション富谷のオーナーからの連絡では、本日2万羽を超えるサシバが飛来したとのこと。2万羽を超える飛来は数十年ぶりの出来事らしいです。

■2006年に初めて宮古島を訪れた際の探鳥記です
http://ashgarden.cocolog-nifty.com/blog/2006/07/post_5db7.html

■2008年の二回目の宮古島探鳥記です
http://ashgarden.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/post_0090.html

■2010年10月にサシバの渡りを求めて伊良部島へ渡った日記です
http://ashgarden.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-6635.html

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コメント

お疲れ様でしたー!!
台風と一緒ってのもある意味思いで深いものになるのではないですか"^_^"
相変わらず美味しいものは堪能されたようで!!

投稿: you | 2013年10月12日 (土) 14:09

mailtoyouさん、長いブログにお付き合いありがとう。
ペンションたきなかの食事は、高価な素材で名コックが作る有名店の料理とは正反対だけど、食べる人のことを考えてお母さんが愛情をこめて作ってくれるので、何を食べても美味しいです。

サシバの渡りは2回もボウズだったんで、是非とも次回は見たいな。

投稿: Ashgarden | 2013年10月12日 (土) 15:23

シマアカモズ・ムラサキサギ他をありがとうございました!!

貝塚市繋がりは本当に奇遇モノでしたが泡盛は一寸残念だったようで!!

自分の場合では沖縄本島に2回行っていますが一人旅ではないので2回ともシロガシラだけでも満足して帰っています!!

それにしても25年を経たチェルノブイリ4号機でも核燃料には手を着けられず只封じ込めるだけしかない状況であって、本当に福島は溶け落ちた核燃料そのものに十数年で取り出し等の処置が始められるモノなのか心配になります!!
拙宅から直線で2kmくらいの場所には8000ベクレル以上の高濃度放射性焼却灰が体育館くらいの大きさの天幕の中に集積(当初は反対運動やTV放送もされたが現在は搬入口近くの反対看板のみ!!)されていて20張りもありますが、現在では既に搬入は中断してはいますが、大型台風や竜巻等で破損したりしたときのことは行政は全く考えてもいないらしく、ましてや避難計画さえ必要とも考えていないようで!!
我が町でも学校の運動場や公園等では除染作業がされ袋に詰めて地中に埋めてあり、今年も開催される近くでのジャパンバードフェスティバル会場一帯も草地部は除染作業があった場所なのではありますが!!

投稿: はたやん | 2013年10月12日 (土) 22:25

mailtoはたやん、いつもコメント有難うございます。
原発事故は日本に大きな禍根を残すでしょうね。
私は除染作業そのものに疑問を感じます。福島に暮らす人や福島を故郷に持つ人には過酷な意見ですが、特定の領域は封鎖してしまってはどうでしょうか。もちろん、放射性物質がこれ以上拡散しないような手立ても必須ですが。

投稿: Ashgarden | 2013年10月13日 (日) 07:53

昨日家内と貴殿の話していました、やはり、宮古島でしたね、台風、自然には勝てませんね、でも、思い出作りになりましたね、私も38年前沖縄台風のため帰れず、ホテルの大部屋でみんなで泊った,思い出があります、でも、相変わらず、美味しいものは堪能出来たようですね、今後のブログも楽しみにしています、

投稿: ふーさんの野鳥と旅 | 2013年10月13日 (日) 19:17

mailtoふーさん、お久しぶりです。最近は公私とも雑事が多くて、なかなか鳥を見に行く機会がありませんでした。
今回は6泊7日のスケジュールで「完全制覇」するつもりでしたが、台風に追い掛け回されて逃げ帰ってきました。
大野山林にも行ってみましたが、夏鳥が居ない森林は寂しいですね。
やはり、ふーさんの行った頃が一番でしょうか。
また、お会いしたいですね。

投稿: Ashgarden | 2013年10月14日 (月) 07:45

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