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2009年6月11日 (木)

グラン・トリノとパクス・アメリカーナ

『グラン・トリノ』を、ロードショーの最終日ぎりぎりの5月末に見に行った。
この映画には惹かれるものがあったけど、何故か主演のクリント・イーストウッドを全米ライフル協会会長だったチャールトン・ヘストンと勘違いしてて、観に行くことに抵抗があった。
チャールトン・ヘストンは俳優としては好きだったけど、全米ライフル協会の会長として銃暴力の頻発するアメリカでライフルや銃の所持を肯定する活動をし始めたころから嫌いになった。
『グラン・トリノ』のストーリーには、多くのメタファーが秘められている。

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<大まかなストーリー>
かつては朝鮮戦争に従事し、フォードの工場で組立工として働いていた老主人公。
すでに定年退職し、最愛の妻にも先立たれた彼には二人の息子や孫たちが居るものの、反りが合わず独り暮らしをしている。
最近、彼の住まいの近隣には東南アジアからの難民が多く住みつくようになり、白人は徐々にマイノリティに成りつつ在る。
黄色い連中がわがもの顔に白人の街を闊歩するのも面白くないし、彼らが乗りまわす車がHONDAやTOYOTAなのも忌々しい。

老人vs若者、白人vs東洋人、フォードvs日本車の対比は、かつては栄華を誇ったアメリカ帝国が衰退の一途をたどり、世界経済の主導権を中国などの新興国に奪われつつある現状を如実に物語っているのが面白かった。

しかし、それ以上に印象的だったのは、難民どおしのいさかいに主人公が短絡的な感情で介入したために難民どおしの抗争が激化し、主人公の隣人だった女子大生がレイプされてしまう。彼はその責任を感じてか、敵対する側のグループに単身乗り込んだのだが彼らから銃殺されてしまい、映画は終わる。

彼が難民どおしの抗争に介入した表向きの理由は正義感なのだが、実はチャーミングな女子大生にスケベ根性で惚れてしまったことが根底に感じられた。

アメリカ人である主人公が東洋人どおしの抗争にちょっかいを出して、かえって話をややこしくしてしまうというストーリーは、まさに前世紀からのアメリカが朝鮮やベトナム、中米の多くの国々、中東の多くの国々に対して防共や反テロリズムという大義名分でちょっかいを出した結果、にっちもさっちも行かなくなって結局は投げ出してしまう(=撤退する)というシナリオを連想させる。
大義名分では防共や反テロリズムを謳っているものの、真意では石油採掘権などの利権欲しさに中東に攻め入ったことは周知の事実だろう。

最近、ソマリアの海賊が問題に成っているが、この国だって内部の紛争にアメリカが勝手に軍事介入して無政府状態に成ってしまったために、国民としては海賊くらいしか生計の目処が立たないので、やむなく海賊行為をしてるんだという説もある。

この映画の主役でもあり監督でもあるクリント・イーストウッドが、この映画を通してアメリカ帝国の衰退と暴挙を訴えようとしていたのだったら、彼の勇気を心から褒め称えてやりたい。

『グラン・トリノ』オフィシャルサイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/grantorino/#/top

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