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2009年2月 1日 (日)

お馬鹿すぎる確定申告ソフト

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我が家が支払った昨年の医療費の総額が50万円近くに成ったので、医療費控除の確定申告をすることにした。

巷の話では、確定申告時期の税務署は大混雑で何時間も待たされるらしいし、わざわざ仕事を休んでまで医療控除の申請をしても、休んだ分の損失を差し引くとメリットが薄れてしまう。
さらに、インフルエンザの流行している時期に人ごみの中で数時間過ごすのもリスクが大きいと思ったので、自宅のパソコンで電子申告することにした。

電子申告なら税務署まで出向く必要が無いし、休日や夜に自宅のパソコンで処理ができるのも大きなメリットだ。

パソコンで確定申告するには、それなりの準備が必要だった。

①住民基本台帳カードの取得(2008年12月下旬~2009年1月初旬)
まず、私が申告者本人であることを電子的に認証してもらうために、居住する役所でICチップが組み込まれた住基カードを取得する必要がある。
役所の窓口で住基カードの交付申請を行うと、何日か後に交付書が送付されてくるので、この交付書と引き換えにカードが入手できるわけだ。
住基カードには写真入りと写真無しの2種類が在るが、写真付きの公的な身分証明としては運転免許証でこと足りるので、安い方の写真無しを選択。

窓口でカードを受け取る際に電子証明書発行申請を行って、この住基カードに電子証明を組み込む必要もあった。

②ICカードリーダの購入(2009年1月21日)
パソコンで住基カードを読み取るためには、ICカードリーダが必要だ。
SONYからこの日に発売されたPaSoRi(RC-S330)を、SofMapで2,980円で買った。
このRC-S330は、確定申告はのみならずEdyへのチャージやPiTaPaの利用履歴も確認できるので、プラスティックマネー時代には必需品に成りそうだ。

③パソコン環境の整備(2009年1月24日)
パソコンで確定申告するためには、各種のクライアントソフトや電子証明書をインストールする必要があったが、以下の「申告書等作成のための操作の手引き」に必要な手順が書かれていた。
https://www.keisan.nta.go.jp/h20/tebiki/syotoku/h20syotoku01.pdf

④利用者識別番号の取得(2009年1月24日)
e-Taxを利用するためには、「開始届出書」なるものを所轄の税務署に提出し、利用者識別番号を取得する必要があるらしい。
このページで必要事項を記入して送信したら、即座に利用者識別番号が通知された。
http://www.e-tax.nta.go.jp/todokedesyo/index.html

⑤医療控除申告書の作成(2009年2月1日)
昨日以来、寒々しい日が続いてる。
普段なら、休日には望遠レンズを担いで近所の野山へ野鳥を見に行くところだが、この寒さでは外出する気にすら成れない。
こんな日には、前から気に成っていた確定申告でもしてみるかと諦めて、パソコンの前に座った。
すでに住基カードやICカードリーダーは準備していたものの、何しろ今回が確定申告の初体験なので、何をどうしたら良いのか判らない。
とりあえず「確定申告」や「e-Tax」のキーワードでネットを検索すると、パソコンで電子申告用のデータを作成するには、e-Taxソフトをダウンロードして画面入力する方法と、国税庁のホームページで直接入力する方法が有るようだ。
とりあえず、国税庁のe-Taxダウンロードコーナーで、e-Tax共通ソフトなるものをダウンロードしてみた。
https://www.e-tax.nta.go.jp/download/e-taxSoftDownLoad.html

本来、家電製品やIT機器を買ってもマニュアルは読まない方針(?)なので、とりあえずソフトをインストールし、「利用者用ソフトウエア」なるものを起動してみた。
画面の上部にメニューバーが有り、似通った内容のメニューボタンが画面左側に成らんでいる。
ボタンを上から順に選んで、各画面の項目を眺めてみるが、それぞれの項目やボタンが何を意味しているのか、直観的には理解できない。
いくつかの画面を経たのち、「医療費に係る領収書等の記載事項」の画面まで辿りついた。どうやら、この画面で病院や薬局から貰った領収書を入力すれば良いらしい。

領収書の内容を入力し始めて、愕然とした。
確定申告が必要な人の多くは、病気治療のために何回も病院通いをしている訳だから、同じ診療機関や薬局の領収書が山ほどある訳だ。しかし、このソフトでは医療を受けた人の姓名、病院名や所在地などを次行にコピペする機能が無いうえに、誤って入力した行を削除する機能も備わっていない。

イライラしながらも何ページ分かを入力できたので、入力内容を確認しようと[次ページへ進む]ボタンを押したつもりが、このボタンが[次ページの削除]ボタンだった。
少し気の利いたソフトならば、大量データの削除の前にはダイアログで確認するステップが有るものだが、このe-Taxソフトは苦労して入力したデータをあっさりと消してくれた。

気を取り直してデータを入力し直し、送信する段階まで辿りつけたが、どんな手順でどのデータを送信すれば良いのかも見当がつかない。
何度かチャレンジしたが、何かの手順が誤っているようでエラーコードが表示されるばかりだ。
このインターフェースも利用者を小馬鹿にしている。エラーの内容を知りたければエラーコードでメッセージ一覧ページを検索せよとの意向らしい。

半ば嫌気がさして時計を見ると、12時を過ぎている。
せっかくの休日を半日近くもつぶしたのに、まだデータ送信もできていない。
気を取り直して昼食をし、もう一度ネットを検索してみる。
いくつかのブログを見直すと、電子申告するにはe-Taxソフトよりも国税庁のホームページで直接入力する方法が楽だったという書き込みが目にとまった。

初心に戻り、国税庁のホームページを見直してみる。
ホームページに在る医療控除申告書の作り方のビデオも見た。

「医療控除申告書の作成方法や具体的な入力例」
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tokushu/sakuseihou.htm

まず、「確定申告書等作成コーナー」画面の「作成開始」ボタンを押してみる。
https://www.keisan.nta.go.jp/h20/ta_top.htm

この画面は、e-Taxソフトのようなお役所言葉ではなくて一般市民でも理解できる平易な言葉で書かれている。
それぞれの画面で表示されるメッセージも適切だし、領収書の入力画面も午前中のe-Taxソフトでイライラさせられたのがウソのように、小気味よいユーザーインターフェースに成っている。
何と数十分ですべてのデータの入力が完了し、無事に送信もできた。
送信受付確認画面には、8万円以上の税金額が還付されると書かれていた。
これで、昨年末からの準備作業と今日の半日の労苦が報われた訳だ。

e-Taxソフトも確定申告書等作成コーナーのWEBページも、同じ目的で作られたものだろうが、正直言ってe-Taxソフトは使い物に成らない。

e-Taxソフトの馬鹿なところは、画面に表示される用語が専門用語ばかりなうえに、作業手順も利用者のスキルや利便性をまったく考慮していないところにある。
つまり、e-Taxソフトとは既存の紙ベースの申告書類がパソコン画面で入力できるだけのワープロソフトでしかないようで、企業の経理部門や税理士など税務のプロには便利なツールなのかも知れないが、税務知識に乏しい一般市民が使いこなすにはハードルが高すぎる訳だ。

こんな、お馬鹿なソフトだって何億もの国費を投じて大手ソフト会社に開発させたんだろうし、毎年の保守費用も相当なものだろうが、このシステムを設計したお馬鹿なSE連中は、ソフトを使う立場の一般市民の観点でシミュレーションなどしなかったんだろうな。
SE失格だね。

■2009年2月24日追記■
このe-Taxソフトは、某ソフトウエア会社が開発した「電子帳票入力/出力システム開発支援ツール」というものを使って作ったらしい。

一般に、電子帳票とは旧来の紙ベースの書類をパソコン画面で入力したり参照したりするだけの単純な機能に過ぎないので、申告書類を電子化したからと言って「e-Taxソフト」なんて大げさな名前を付けたりするから、皆が勘違いして貴重な時間をロスするんだよ、国税庁さん。

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コメント

システムを設計したお馬鹿なSE連中は、ソフトを使う立場の一般市民の観点でシミュレーションなどしなかったんだろうな。

ブログの4分の1ほど読みました。そして末尾には上記のコメント。同感です。e-taxに限らず、多くのシステムに同じようなことがいえます。
その原因は
1 製作者が若い年齢。
2 システム者全体の世界の言葉使い。
  つまり仲間内にだけに通用する言葉使い。
3 自らの説明書を使って、自ら使えるか使用し  ていない。
以上が主な原因と考えます。
この解決のためにはユーザーの強力な指導が必要と考える次第です。
税務当局はこのことに気付いていないのではないだろうか?

投稿: やらなければ | 2009年2月10日 (火) 07:03

やらなければさんのご指摘のとおりですね。
私は紙テープや磁気ドラム時代から生き残ってる業界人間ですが、かつてはSEたる者の基本的資質として
①開発言語やハードウエアに熟達している
②開発ターゲットの業務や業界に関する豊富な知識を有する
③発注者との円滑なコミニュケーションができるような社会的知識と会話能力を有する
④プロジェクトメンバーに対する指導力
⑤残業や徹夜に負けない強靱な体力がある
などが必須と言われてましたけど、今の世代の連中は、①の言語を拾得するだけで手が回らなく成ってきてますね。
これは、ひとえにIT関連の技術革新がめまぐるしいスピードで進んでるととに加え、Microsoftなどが不必要と思われるほど次から次へと新製品や新しい技術を投入しすぎるからでは無いでしょうか。
そんな観点では、今の時代のSE連中が哀れにも思います。
このソフトのもう一つの問題は、ご指摘のように発注者側の姿勢に起因するかと思います。
開発予算だけ獲得して、後は業者に丸投げでは、良いシステムができるはずは無いです。

投稿: Ashgarden | 2009年2月10日 (火) 09:01

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